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細田神社(伊勢本街道)・消えゆく神社と伝承に思うこと

兵庫県の山間部を走っていたら、神体山と呼ぶにふさわしい、美しい三角形の里山を見かけました。
道路地図にもナビにも神社マークはありません。

しかし経験上、山麓に神社があるのではと推理し、狭い農道を無理に進んでいくと、それらしいこんもりとした森があります。


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「やっぱりな」と、棚田の畦道を歩いて近づくと・・・・


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失礼な言い方ながら、寂れた祠だけでした。

勝手な空想ですが、こんなストーリーが浮かびます。

明治の合祀政策によって「廃神社」となったものの、それを惜しむ人々が小さな祠を残してひっそりと信仰を続けてきた。
しかし、地域の氏神でもなく、華やかな祭りもなく、ご利益の程も不明な祠は、それを祀っていた人々が亡くなるにつれ、過疎化の中でひっそりと忘れ去られていく・・・。

なんとなくこれ以上近付くのが憚られて、引き返しました。
あの山の頂上には、きっと忘れられた磐座があるのだろうなと思いながら。
(空想に空想を重ねているので、違っていたらすみません)

  ☆

一方、それなりに知られた古い街道沿いにあり、ネットでは多少画像も出てくるものの、その由来や信仰について、ほとんど情報がない、というお社もあります。

例えば、この細田神社です。


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ここは、奈良県曽爾村、国道369号線の山粕あたりが見下ろせる高台です。


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この細田神社、社殿はなく、中央部が縦に凹んだ巨岩をお祀りしています。


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凹みの上部。


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この神社の前は、「伊勢本街道」という山道です。
奈良から三輪、初瀬、榛原、山粕、菅野、奥津、多気、津留、相可、田丸などを経て、宮川を渡って山田(伊勢)に到る約129キロの行程で、神宮を伊勢に祀った倭姫命が大和から伊勢へ向かった際に通った道といわれています。

“神意に叶う道”として、西からの参宮者が多く利用した道でしたが、険しい山道が多いため次第に利用者も減っていったとか。

山粕宿に近いこのお社については、
① 大己貴命を祭祀していた「住田の宮跡」
② 平維盛が一時隠れ潜んだ伝承地
③ 空海が修業中に岩窟に刻んだとされる梵字の石がある。
④ 下半身の病にご利益がある。

などという情報をかろうじて断片的に見つけましたが、全体像がつかめません。

自治体や観光協会の方で、地域の大切な歴史遺産として、説明板などを設置していただくとありがたいのですが。

  
  ☆


下半身の病にご利益があるというのは、もともと陰陽石だったのでしょう。
なるほど、よく見ると下部に小ぶりな立石もありますから、陰陽石の俗信があったとしても納得します。


・・・・・・と、ここで連想したのが、福島県二本松市上川崎にある七尋石

独立した立石ですが、やはり中央部が縦に凹んでいます。


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こちらの巨岩は史料も情報もありません。

磐座信仰や巨石信仰は、その形状や信仰内容で類型化することもひとつの研究方法だと思います。
例えば
「このタイプの立石周辺からは、しばしば弥生土器が出土している」
などという類型化情報があれば、周辺の民家で
「このあたりで、お茶碗のかけらのようなものを拾ったことはないですか?」
などと聞き込みをして、古代信仰の解明につなげるわけです。

この七尋石については、細田神社の巨石の詳しい情報がわかっていれば、何かしら糸口になるかもしれません。

いずれにしろ、地域共同体の崩壊と過疎化は、地方にひっそりと佇むお社を飲み込もうとしているように思えます。
小さな祠ひとつ、風化した石仏ひとつが、地域の歴史を伝えるかけがえのない遺物であるかもしれません。

外国人観光客による観光立国が、日本がめざすべき将来の姿のひとつなら猶更、一見地味な歴史遺産もその由来を含めてきちんと保護しておくことが必要かもしれませんね(^_^.)




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Author:sazanamijiro
古代史マニアですが、特に自然神道期の多様な信仰遺跡に魅せられています。

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