FC2ブログ

記事一覧

瀬居島の地図にない不思議な神社・バス停前の巨石信仰

岡山から瀬戸中央自動車道で四国に向かうと、与島を過ぎたあたりで、香川県坂出市の工業地帯が見え始めます。
埋立地に建設されたコスモ石油や三菱ケミカルの大規模な工場なのですが、よく見ると意外にも最北部には、自然景観が残っています。

その部分はかつて「瀬居島」という離島でした。
四国本土と瀬居島の間を埋め立てて工業地帯にしたため、いちばん先には古い集落と自然がそのまま残っているというわけです。




-(マイナス)ポチで全体の地形をご覧ください。


その「旧瀬居島」の神社を訪ねようと、埋め立て地の広い道路を走ります。


IMG_2664_convert_20181012163619.jpg



こんな場所に巨石信仰が!

ところが驚いたことに、思いもかけないところに巨石信仰のお社がありました。

なんと、バス停の横に巨大な磐座が鎮座していたのです。


IMG_2650_convert_20181012163105.jpg


IMG_2663_convert_20181012163540.jpg


前がバス停なら、後ろは郵便局。

お社の名前は「蛭子大明神


IMG_2649_convert_20181012163022.jpg


IMG_2646_convert_20181012162913.jpg


IMG_2651_convert_20181012163204.jpg


IMG_2645_convert_20181012162817.jpg


どうも積み重ねた岩組みに見えます。


IMG_2655_convert_20181012163324.jpg


IMG_2661_convert_20181012163500.jpg


IMG_2659_convert_20181012163412.jpg


IMG_0883_convert_20181012162142.jpg



実はここ、道路地図にもグーグル地図にも記されていません。
先ほどのグーグル写真でオレンジのポイントがついているところですが、その近辺にある別の蛭子神社は記載されているのに、ここはスルーされています。

これだけ立派な磐座があるのになぜ?

そもそも、巨石信仰といえば、本殿裏の鬱蒼とした森の中とか、背後の神体山を雑草かき分け登ったところなどという場所が定番です。
マムシにスズメバチ、時には「熊に注意」などと書かれた場所が多いのに、ここはバス停横なのですから驚きました。



「蛭子」という神名から考える

「蛭子」というのは記紀神話において、3歳になっても足が立たなかったために流し捨てられた神です。
流された蛭子神はどこかの地に漂着したという信仰が生まれ、さらに海からやってくる姿が海の神であるえびすの姿と一致し、2神は同一視されるようになります。

蛭子神漂着の伝承は各地にありますが、その代表が兵庫県西宮市の西宮神社とされています。
また西宮神社はえびすという名の神を祀った神社としては現存する記録上で最古であるため、全国のえびす神社の総本宮ともされています。

この西宮神社のえびす神(蛭子神)を勧請した有力な神社に、同じ西宮市の越木岩神社があります。
この越木岩神社は、かなり有名な巨石信仰のお社です。


IMG_9764_convert_20180528151113[1]


IMG_9776_convert_20180528151402[1]


DSCF4504[1]


P1630086_convert_20180528152337[1]


各地の海岸にあるえびす神や蛭子神の祠やお社は、海に突き出した岩礁や小島に依りつく神として祀られる事例が多い以上、これらの神が海辺の磐座に祀られていて不思議はありません。

おそらく埋め立て前は、この蛭子大明神の磐座群は自然海岸にあったのでしょう。
埋め立てによって陸地の中に取り込まれ、本来の立地条件とは異なる環境で祀られているものと思います。

  


大漁旗の漁船と島の祭り

この蛭子大明神から100mほど離れた漁港に、お祭りのために大漁旗を掲げた船が三隻浮かんでいました。


IMG_2606_convert_20181012162253.jpg


IMG_2632_convert_20181012162603.jpg


IMG_2616_convert_20181012162413.jpg


九月の秋まつりでは、島を一周してそれぞれの港へ寄るらしいので、今月もそんな祭りなのでしょうか。
船の上で酒を飲んだり、新鮮な料理を食べたりして、楽しく親睦を深めるようです。


IMG_2614_convert_20181012162332.jpg


IMG_2618_convert_20181012162506.jpg


ただし、蛭子大明神と直接関係があるお祭りかどうかは、結局わからないままです。

この瀬居島、元は瀬戸内海の離島ですから、住民の皆さんの多くは水軍の末裔なのでしょうか。

瀬戸内の水軍は、よほどの事情がなければ特定の大名に服従せず、自由に海を行き来したとされます。
自主独立の精神を持った、海の男たちとその信仰を垣間見た気がしました。


家計と休日予定を何とかやり繰りし、各地を回っております。ネタも少なくなり、先行きが不安ですが、それぞれクリックしていただくとネタ集めの励みになりますのでよろしくお願いいたします。
にほんブログ村 歴史ブログ 史跡・神社仏閣へ
にほんブログ村


にほんブログ村


神社・仏閣ランキング

コメント

地図にない神社

ミステリアスで興味深々です^^
でも、立派な磐座があって、確固たる信仰の拠点だったことが見ていても偲ばれますね。
島であったころのほうが、その威力はいろんな意味で大きかったような・・・交通こそ便利になったものの、大切にされてほしいですね。
なるほど、蛭子と恵比寿はそういう繋がりがあったのですね。
西宮神社は、私にとっても一度ぜひ行ってみたい憧れの聖地ですが、近くまでいくもののなかなか訪れる機会に恵まれません。まだ、その「時」ではなく、許可待ち状態なのかな?なんて自分を慰めています。

瀬居島、名前もいいですね^^( ..)φメモメモです。
元伊勢とか元出雲、など元がつく聖地は多いですが、ここも案外、元西宮恵比寿さんのひとつであるかも、しれませんね^^ 応援☆☆☆彡

Re: 地図にない神社

MIUMIU 美雨 様

ただ今午後6時。渋滞の高速を岐阜県から帰ってきました。
残念ながら紅葉はまだでしたが、いくつかネタを集めましたので、また読んでいただければ幸いです。

瀬居島の存在は、実は最近まで全く知りませんでした。
香川県の神社をいろいろ探していたら、工業地帯の先にもあることが分かり、不思議に思ったくらいです。
しかし古くからの海岸線には、ほんとにたくさんの神社や祠や伝説があるので、ちょっと期待して現地調査したら偶然出会ったという次第です。

コンビナートの建設は、地元民優先採用や漁業の補償金など、さまざまなことがあって漁師も漁船も減り、従来の海人系祭祀がいつまで続くのか、いろいろ課題もあるそうです。しかし、この国の大切な財産として、いつまでも無理なく続いてほしいと思いました。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

sazanamijiro

Author:sazanamijiro
古代史マニアですが、特に自然神道期の多様な信仰遺跡に魅せられています。

フリーエリア