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生殖器信仰と陰陽石・忘れられた日本の伝統文化

歴史学や民俗学に興味を持つ人でも、なぜか無反応に通り過ぎていくテーマのひとつが、「生殖器崇拝」でしょう。
ブログで取り上げても、あまり反応がありません。

M・ウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」ではありませんが、近代資本主義はキリスト教的禁欲の精神から生まれました。
その「世俗内禁欲」が、キリスト教抜きの近代日本において作用した精神的傾向のひとつが、「生殖器崇拝・性器信仰」を「猥褻・下品」とする「性の禁止化」ではないかと私は疑っています。

そして建前上、表面上の「性の禁止化」は、「性の商品化」というゆがんだ資本主義的風俗を副産物として生み出しています。


  ☆


変な理屈はともかく、「生殖器崇拝・性器信仰」が下品で猥褻などという考え方は、日本の伝統ではありません。

というわけで、まず岐阜県中津川市、JR中津川駅の西側に位置する桃山公園内の「女夫岩」から。


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この男岩、高さが8mで周囲は24m。陰陽石の大きさとしては全国でも最大規模なのだそうです。


  ☆


次は、島根県八束郡玉湯町の「珍宝石さん」です。


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(説明板)
珍宝大明神

珍宝大明神と崇める珍宝石は男根に類似した自然の御神石で、古くよりこの旧道の路傍に鎮座になり、遠く神代玉作部の頃より多くの世人が尊崇いたして今日に及んでいます。
特にやる氣おこしの御神徳を家庭の円満、子孫の繁栄商賣繁盛病殊に下半身の病気平癒等の守護神として深く信仰されています。
往昔よりその解願、祈願達成のお礼として木製石製の男根や幟、銭米、神酒等が献じられ霊験頗る顕著と伝えられています。
古来この地一帯は玉の宮と稱し勾玉、管玉、丸玉、平玉、ガラス玉等の制作地で、玉作連の集落が在った処と云われ、地内には玉祖神を御祭神とする玉宮神社の旧社地や、玉作連の長の塚と伝える大連塚等の遺蹟が存し、付近各所から上代の玉類や玉磨砥石、古代ガラス、土器等多数出土しており、國の史蹟保存地に指定されています。かゝることからしてもこの御神石が古くよりこの地に祀られていたことがうかがわれます。


 
 ☆


下は、以前紹介した愛知県小牧市の田縣神社。

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(画像は「ロコナビ」様より)


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神社の由緒では
創建年代は弥生時代までさかのぼり、「母なる大地は、父なる天の恵みにより受胎する」と古代人の民俗思想により始まり、五穀の豊穣・国土の発展を神に祈ったと伝えられております。
とされますから、これこそ日本の最も古い伝統信仰のひとつだということになります。

  
  ☆


これは岡山県高梁市成羽町中野の金精神社。


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  ☆


岩手県一関市千厩の夫婦石


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  ☆


広島県福山市山野町上原谷の「多祁伊奈太岐佐耶布都神社」は、石段を上った洞窟の中です。


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洞窟の奥のこの岩が陰陽石ではないかと思います。


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これは縄文時代の金生遺跡。


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  ☆


日本における生殖器崇拝は、その名称として「おしめさま、歓喜天、金魔羅様、金精様、金丸様、陰陽石、瘡神、お祠様、さいのかみ、穴場様、穴婆様、とんび岩」などがあり、全国的に分布しています。

これを卑猥で非文明的だとするのが近代ヨーロッパやアメリカの影響であるなら、キリスト教と無関係な国民がそれに影響されるのは変かもしれません。

というわけで、またネタが入りましたら、性懲りもなくこのシリーズを続けたいと思います。
パスしないで読んでくださいね\(^o^)/


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コメント

No title

禁欲主義と性器を猥雑とみる思想はダイレクトには結びつかないというか、日本でも禁欲は昔から普通に説かれてきたわけで、また欧米が現代日本のように裸や性器に対して複雑な感情を持っているかと言えばもっとオープンであるよう見えることからして、ひょっとすると日本のここ数十年くらいの特殊な状況ではないのかと疑っている。
なんらかの政治的意図が働いてそのようなキャンペーンを行っているのではないかという。

Re: No title

> 禁欲主義と性器を猥雑とみる思想はダイレクトには結びつかないというか、日本でも禁欲は昔から普通に説かれてきたわけで、また欧米が現代日本のように裸や性器に対して複雑な感情を持っているかと言えばもっとオープンであるよう見えることからして、ひょっとすると日本のここ数十年くらいの特殊な状況ではないのかと疑っている。
> なんらかの政治的意図が働いてそのようなキャンペーンを行っているのではないかという。

するどいご指摘ありがとうございます。確かにマックスウェーバーと性器を卑猥とする観念はダイレクトに結びつけにくく、そのため「変な理屈はともかく・・・」というゴマカシの一言を入れています。
ただし、江戸時代の混浴について嫌悪感を持ったペリーは「日本人は道徳的な民族だが一方ではたしかに淫蕩である」と述べ、オランダ人医者ポンペは「彼らは性の区別を意識しないから少しも見苦しくない」と書いたと言われます。
そのような文化が決定的に変化したのは、私は団塊の世代の文化と高度成長がポイントだと思っています。またキリスト教もその根源的な教義にはやはり性的禁欲があると思っています。

No title

旧約聖書では姦淫についてそうとう厳しい感じで書かれているが、新約でそれらを覆しているイメージがある。
旧約でさえ王統はユダの買春行為から始まっているし、イエスは売春婦を石打ちの刑から救ったり、弟子にしたりとむしろ救済対象である。
実際ヨーロッパでは売買春が合法であったり、異性が裸同士でも平気であったりという事もあるみたいで。
これを見ると現代日本の性的な禁忌思想がどこから来ているのかはっきりとは分からない感じがある。
すくなとも昭和の中期くらいまでは女性が平気で胸をだしていたり、田舎では女性も屋外でトイレをしていた。

Re: No title

deds 様

たしかにある程度の時期まで、日本の女性も羞恥心の感覚が今と異なっていたと多くの方が記されていますね。

貴重なご意見ありがとうございました。

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sazanamijiro

Author:sazanamijiro
古代史マニアですが、特に自然神道期の多様な信仰遺跡に魅せられています。

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