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性器信仰と神社・良い子は閲覧注意!

経験上、あまり評価いただけないというか、スルーされることの多いテーマですが、神社史研究上避けては通れない問題なので、あえて記事を書きます。


大縣神社と田県神社と阪田山祭祀遺跡

愛知県犬山市にある「大縣神社(おおあがたじんじゃ)」は、そのホームページに

大縣大神(おおあがたのおおかみ)をお祀りする神社です
創始は古く、尾張本宮山頂より現在の地にお祀りされてから2021年という悠久の歴史を有しております


と書かれているように、旧社格は式内名神大社という極めて起源の古い立派なお社です。


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ここは古来より安産・子授など女性の守護神として崇敬されており、女陰をかたどった石が祀られていることでも有名です。(これは小牧市田縣神社の男根に対応するものとされています。)


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このお社の豊年祭は別名「於祖々祭(おそそ祭)」とも言い、毎年3月15日直前の日曜日に女陰をかたどった山車などが練り歩きます。

ただし、女陰をかたどった石が、いつごろからあったのかはわかりません。



一方、和歌山県白浜町阪田の阪田山祭祀遺跡には、男女陰陽のレリーフが岩盤に刻まれています。


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この遺跡は昭和十三年に発見。
砂岩礫を並べた直径1m弱の不整円形の環状列石の内部より、多量の滑石製品が出土しました。

須恵器、土師器、製塩土器、土錘、剣形石製品や原型不明の鉄片などが出土し、1300年以上前、社殿建立以前の祭祀遺跡であるとされています。

この女性器は岩盤に刻まれていますから、位置や方向は古代から同一です。
私がこの女陰の中心線の方向を測定したところ、ほぼ冬至の朝日が差し込む方向でした。



女性器に差し込む朝日の祭祀的重要性

対馬の「天道信仰」について、ウィキペディアにはこう書かれています。

対馬では独自の天道信仰が残る。太陽の光が女性の陰部に差し込んで孕み、子供を産むという太陽感精神話が伝えられ、母神と子神として祀るようになったという。母神を山麓に子神を山上に祀り、天神たる太陽を拝むことが多く、山は天道山として禁忌の聖地とされる。



同じくウィキペディアで「阿加流比売神(あかるひめのかみ)」を検索すると・・・・

『古事記』では応神天皇記に記述がある。

昔、新羅のアグヌマ(阿具奴摩、阿具沼)という沼で女が昼寝をしていると、その陰部に日の光が虹のようになって当たった。すると女はたちまち娠んで、赤い玉を産んだ。その様子を見ていた男は乞い願ってその玉を貰い受け、肌身離さず持ち歩いていた。ある日、男が牛で食べ物を山に運んでいる途中、天之日矛と出会った。天之日矛は、男が牛を殺して食べるつもりだと勘違いして捕えて牢獄に入れようとした。男が釈明をしても天之日矛は許さなかったので、男はいつも持ち歩いていた赤い玉を差し出して、ようやく許してもらえた。天之日矛がその玉を持ち帰って床に置くと、玉は美しい娘になった。

天之日矛は娘を正妻とし、娘は毎日美味しい料理を出していた。しかし、ある日奢り高ぶった天之日矛が妻を罵ったので、親の国に帰ると言って小舟に乗って難波の津に逃げてきた。その娘は、難波の比売碁曾の社に鎮まる阿加流比売神であるという。



以上のような「日光感性神話」の例から考えると、女性器のレリーフは単に「子孫繁栄や子宝に恵まれるための性器崇拝」ではなく、「太陽神と地母神との聖婚」という大きなテーマの信仰ではなかったのでしょうか。

阪田山遺跡の女性器に冬至の頃の朝日が奥まで差し込むことは、光が子宮にまで差し込むことを表します。

ちなみに、キリスト教において、クリスマスは「降誕を記念する祭日」であり、「イエス・キリストの誕生日」と考えられているわけではありません。ミトラ教の冬至の祭を受け継いだものなどと言われています。つまりクリスマスは本来キリストの誕生日ではなく、キリスト教以前の太陽信仰の系譜を引いていました。

日本でも、新たな天皇の即位式である大嘗祭は、本来は冬至のころに真床追衾(まとこおうふすま)を用いて行われる再生儀礼だとされます。

つまり、阪田山遺跡に限って言えば、冬至の頃に太陽神と地母神の聖婚儀礼が行われるのは、古代信仰に置いて極めて理にかなったことだと結論できます。
(ただし、この仮説の前提は、太陽神が男性神であるということです。)


一方、大縣神社と対になって語られる「田県神社」。


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ホームページにはこうあります。

当神社は、古来より五穀豊穣、家業繁栄、開拓の祖神として崇められております。特に大同二年(807)に編纂された古典『古語拾遺-御歳神の条-』の故事に基づいて男茎形を奉納し祈願する俗習があり、「産むは生む」に通じて、恋愛、子宝、安産、縁結び、夫婦円満、商売繁昌、厄除開運、諸病の平癒の守護神として、全国の崇敬者から格別の崇敬を受け、また世界各国の人々から注目される神社でございます。


では、境内の様子をご覧ください。

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ウィキペディアの引用ばかりで申し訳ないのですが、最後にもう一つ、「ヒエロス・ガモス」という項目を検索しました。

ヒエロス・ガモス(Hieros Gamos、希: ιερός γάμος)またはヒエロガミー(英: Hierogamy, 希: ιερογαμία)は「聖なる結婚」を意味するギリシア語由来の言葉で、神婚、聖婚、聖体婚姻ともいう。 聖婚は神話や儀礼などにみられる男女二神の交合や神と人の婚姻のモチーフである。創世神話において世界の創造をもたらした天の神と地母神の交わり、豊穣をもたらす男神と女神または神と人の結婚を模倣した祭儀、中世ヨーロッパにおいて修道女が神の花嫁と呼ばれたこと、などが聖婚の例として挙げられる。

語源はギリシャ語で、"hieros" = holy(神聖な)、"gamos" = marriage, coupling(婚姻、媾合)。

(中略)

聖婚が現代でも実行されている例としてはウイッカが挙げられる。その儀式において、参加者は「グレート・ライト (en)」と呼ばれる性行為をする。 ほとんどの場合ベルティーン (en) の夜5月1日に行われるこの儀式では、男神を体現する男性と女神を体現する女性とが性交し、恋人同士たる二神の交わりと、ユール(冬至)に生まれるであろう新しい神の懐妊とを祝う。 それは本質的には豊穣儀礼であり、秋に結実するであろう種を母なる大地に蒔くということを象徴させる意図がこめられている。

グレート・ライトはウイッカおよび新異教主義の内部では純粋に象徴的な意味でなされることの方が多い。その場合、儀式用の短剣を杯に突き入れることで聖婚の神聖なる和合を象徴させる。この象徴的儀礼はサバトとエスバトにおいてよく行われる。


これらはかつて世界中に分布していた信仰儀礼なのでしょう。しかし、おそらくは近代キリスト教やイスラム教の倫理や道徳律によって、その多くは表舞台から駆逐されたものと考えられます。
そしてそのことは、明治以後の急速な西洋化によって価値観が変化した日本でも同様でした。


しかし、「良い子には見せたくない」性器信仰は、各地の民俗信仰にまだまだ残っています。

縄文遺跡の石棒からどうぞ。

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これらは淫祠邪教(いんしじゃきょう)の類ではなく、日本の貴重な伝統・民俗として大切に保護すべきだと思っています。


≪目をそむけず、最後まで飽きずに読んでいただいたことに感謝です(^_^)/~≫



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sazanamijiro

Author:sazanamijiro
古代史マニアですが、特に自然神道期の多様な信仰遺跡に魅せられています。

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