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小栗山観音の巨石霊場・行基菩薩と大震災

小栗山観音堂」で検索すると、木喰上人作の「三十三観音」が安置されている新潟県小千谷市小栗山にある観音堂と、行基作の「十一面観世音」がある福島県岩瀬郡鏡石町の小栗山の観音堂の両方がヒットします。

今回は、鏡石町の観音堂の紹介です。


福島県内を探索して思ったことですが、磐座や巨木など、特徴的な信仰物があっても、それに関する情報が極めて少ないと思います。近畿であれば多くのブログに書かれるような注目すべき神社仏閣なのに、ここではたどり着くことさえできない程度の情報量しかありません。
やはり東日本大震災の影響なのでしょうか。

鏡石町の観音堂も、小栗山周辺でさんざん迷い、あきらめかけたころに、「堂前」という地点を発見。おそらく「観音堂」からついた地名であろうと、そのあたりから小栗山を見ると、お堂や岩壁らしいものがわずかに見えました。

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近寄ってみると、まず鏡石町の天然記念である大きなケヤキの木が目に入ります。幹まわり5.27m・根元周囲7.60m・推定樹齢500年の大木です。

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 このケヤキの背後にある小栗山観音堂は、仙道(せんどう)33番札所の第30番。
お堂は巨岩がめり込む形で建てられています。恐らく古くからの巨石信仰があり、後世仏教に引き継がれたのでしょう。

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古くからの磐座信仰がある神社によくある、磐座優先の信仰スタイルです。

お堂の建設前は、この巨石から信仰が始まったことが分かります。

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お堂の前面にまわりました。
岩には四角い掘りこみがあり、行基作と伝えられる十一面是音観世音の木製座像が安置されているそうですが、堂内は荒れていてよく分かりませんでした。

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立岩らしき残骸とブルーシート。おそらく震災で倒れた岩がそのまま残っています。お堂の建物もかなり傷んでいるようです。

ここへ来る途中には、更地に新しい住宅が続々と立てられているエリアがありました。震災の復興は、なによりも住宅の確保が優先ですから、古い無人の神社仏閣の復旧が後回しになるのは当然でしょう。

しかし、本来なら善男善女のお参りが絶えないはずの札所が、すっかり荒れ果てているのはやはりショックでした。夏場は境内に野草が茂り、巨木やお堂に近づくことすら難しくなるそうです。



さてお堂の前面には、不思議な空間が岩に開いています。

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胎内くぐりの系統だと思いますが、大変貴重なものです。岩自体も珍しい様相で、ここが聖地だとされたことが納得。

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奈良時代に活躍した行基作の「十一面観世音」というのは、単なる伝承にすぎないかもしれません。
日本全国、青森県から宮崎県まで行基が開基したとの伝承がある寺院は約600寺もあるそうです。しかし行基自身が開基とされるのはわずかで、多くは行基の徳をしのんで建てられたものだそうです。

しかし行基は知識結とも呼ばれる新しい形の僧俗混合の宗教集団を形成して近畿地方を中心に貧民救済・治水・架橋などの社会事業に活動し、時には朝廷からの弾圧も受けました。震災の影響で人も減り、寺院の復興資金も後回しの現在、行基のような民衆目線の志を持った高潔な指導者が現れ、人々に元気と勇気を与えるということは、もはや望むべくもないのでしょうか。

日本文化の深淵を伝える福島県の文化財はたくさんあります。しかし有名な神社仏閣はともかく、地元の老人会などで管理運営されてきた貴重な文化財とその伝承は、はっきり言って危機に瀕しています。

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仙道三十三観音札所等が再び整備され、高齢者をはじめとする多くの住民の心の糧になるような、そんな元気な福島県に戻ってほしいと切に願う次第です。


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Author:sazanamijiro
古代史マニアですが、特に自然神道期の多様な信仰遺跡に魅せられています。

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