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野々神岳と雄神神社・原初の神社信仰を今に伝えるお社

神社神道の歴史の中で、最も古いタイプの神社の紹介です。しかもまだ謎めいた部分がいくつもあり、神社の歴史を研究する者にとっては、避けては通れない重要なお社といえます。

下は、奈良県奈良市都祁白石町に鎮座する「國津神社」です。
今では市町村合併で奈良市になっていますが、奈良市街地からは20キロメートル近く離れた、高原状の山間部に位置します。

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このお社から東北東600mには、「雄神(おが)神社」が鎮座。こちらが本日のメインになります。


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この雄神神社は、雄雅山(550m)と雌雅山(531m)の双耳峰からなる背後の「野々神岳」を神体山としています。


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その昔、この野々神岳を初めて見た時には、
「二上山タイプの双耳峰かあ・・・。ピリッとした三角形の方が神体山らしいけどなあ。」
程度の大変失礼な感想しか持てませんでした。

しかし、鹿児島県の「高千穂河原」に行った時に、やっと分かりました。双耳峰の神々しさと美しさを。


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さて、この「雄神神社」は、「大神神社」と背後の「三輪山」の関係と同じで、本殿はありません。しかし、他では見たことのない独特の拝殿でした。

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拝殿の中央が廊下のようになっており、しかも窓のような隙間が開いています。

つまり、ここで礼拝を行うと、窓のような隙間の向こうを拝むことになります。
そこには何があるのか。


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結局この岩が礼拝対象、つまり神様の座であることが分かります。
「神社の中心は拝殿と本殿という建物なのだ」と普段何気なく思っている我々の常識が、ここで覆ります。

奥から逆に見たところです。

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さらに「饌米受」の箱。


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賽銭箱が普及して,そこに金銭を奉納する習俗が一般化したのは近世になってからであるといわれます。
貨幣経済の浸透がなければ、そもそもお賽銭などありえません。饌米はお供えのコメを入れる箱であり、散米や打撒につながる習俗でしょうね。
地方によっては、賽米箱(さいまいばこ)と呼ばれます。



さて、もっとも特筆すべきなのは、下の小さな「林」です。


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小さな島の様に水田に浮かぶ、この小さな林は、「休んば」と呼ばれ、雄神神社と国津神社を結ぶ道路の北側に三箇所、南側に一箇所あります。

雄神さんが國津神社にこられるときに休む場所とされていて、その樹木を切ると祟るといわれています。

根源的な神社信仰においては、神は移動する存在です。
「本殿にずっと神様がおられる」などという発想は新しい考え方です。その神様が移動するルート上に「お休みになる場所」があるという古式の神社は他にもあります。


下は、國津神社境内の白い磐座です。


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地図で見ると、この磐座あたりから、三つの「休んば」が線上に繋がり、「野々神岳」の鞍部に達しています。

これは、夏至の朝日の方向のようです。





なお、雄神神社は大神神社の奥の院とも言われています。頂上の石室には白い大蛇あるいは黒いオロチが住んでいるとされ、その蛇を見た者は命を失うとされます。
もちろん神社背後は禁足地でした。



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sazanamijiro

Author:sazanamijiro
古代史マニアですが、特に自然神道期の多様な信仰遺跡に魅せられています。

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