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安達ケ原の鬼婆伝説・巨石と人骨と縄文土器の謎

It is Kanze-ji in Nihonmatsu-shi of Fukushima prefecture.
Here is the legend of a woman 's demon.It is also a megalithic culture of Japan.


奥州安達ケ原の鬼婆伝説と言えば、能の『黒塚』、長唄・歌舞伎舞踊の『安達ヶ原』、歌舞伎・浄瑠璃の『奥州安達原』の演題にもなった有名な伝説です。

その鬼婆が住んでいたとされるのが、下の異様な岩屋です。

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衝撃の展開・人食い鬼婆

その昔、岩手という女性が京の都の公家屋敷に乳母として奉公していました。しかし、彼女の可愛がる姫は生まれながらにして不治の病におかされており、5歳になっても口がきけません。

姫を溺愛する岩手は何とかして姫を救いたいと考え、胎児の生き胆が病気に効くという易者の言葉を信じ、生まれたばかりの自分の娘を置いて旅に出ます。奥州の安達ヶ原にたどりついた岩手は、この岩屋を宿とし妊婦を待ちました。

長い年月が経ったある日、若い夫婦がその岩屋に宿を求めました。
妻は妊娠していて、ちょうどその時産気づき、夫は薬を買いに出かけました。またとない機会です。
岩手は出刃包丁を取り出して女に襲い掛かり、女の腹を裂いて胎児から肝を抜きました。

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  (下記ウィキペディアより)


ところが女が身に着けているお守りを目にし、岩手は驚愕します。それは自分が京を発つ際、自分の娘に残したものだったのです。

たった今自分が殺した女は、他ならぬ我が子だったことがわかり、岩手は精神に異常を来たします。
それ以来、旅人を襲っては生き血と肝をすすり、人肉を喰らう鬼婆と成り果てたのです。


そして726年の頃、紀州の僧・東光坊祐慶が安達ヶ原を旅している途中に日が暮れ、岩屋に宿を求めました。

老婆は、これから薪を拾いに行くと言い、奥の部屋を決して見てはいけないと祐慶に言い残して岩屋から出て行きました。しかし、そう言われればかえって見たいもの。戸を開けて奥の部屋をのぞくと、そこには人間の白骨死体が山のように積み上げられていたのです。

祐慶は、安達ヶ原で旅人を殺して血肉を貪り食うという鬼婆の噂を思い出し、岩屋から逃げ出しました。
岩屋に戻って来た老婆は、恐ろしい鬼婆の姿となって追いかけて来ます。追いつかれそうになった時、祐慶は如意輪観世音菩薩を取り出して必死に経を唱えました。

すると菩薩像が空へ舞い上がり、光明を放ちつつ破魔の白真弓に金剛の矢をつがえて射ち、鬼婆を仕留めました。 鬼婆は命を失ったものの、仏の導きにより成仏し、祐慶は鬼婆を阿武隈川のほとりに葬りました。その地は「黒塚」と呼ばれています。


シェークスピアも真っ青な、よくできたストーリーですね。

ウィキペディアの「黒塚」に、

祐慶が鬼婆に出遭った神亀年間は平安遷都すら行われていない時代のため、岩手が奉公していた時代には、奉公先のはずの京の都自体が存在していないという矛盾がある。

などと記されるように、当然ながら実話ではありません。

「2018/01/19付 救馬渓観音と小栗判官と熊野信仰」
でも書きましたが、伝統的な日本人の琴線に深く食い込むストーリー展開は、民衆の間に語り継がれることにより磨かれた珠玉の仏教説話なのでしょう。ですからどちらの伝説にも、違うストーリー展開がいくつも現存します。

さて、上の写真の岩屋は、福島県二本松市の天台宗真弓山観世寺の境内にあります。 黒塚はお寺のすぐそばです。

観世寺には黒塚宝物資料館があり、安達ヶ原の鬼婆の伝説を解説した掛け軸や絵、鬼婆が実際に使用したと言われる出刃包丁や 鬼婆を埋める時に使用した鍬、さら食べた人間の骨を入れた壺などが展示されていますが、その壺はなんと、縄文土器や弥生土器なのです。

「たまたま掘り出した縄文土器や弥生土器を再利用して、骨入れに使った」とか。


では、境内を詳しく見てください。

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ハーブティーとカレーの例え

ハーブティーを味わおうと喫茶店に入ったら、隣の席でカレーを食べている人がいたとします。カレー独特の強い匂いに「幻惑」され、ハーブティー本来の風味は味わえないと思います。

それと同じで、強烈な鬼婆伝説に「幻惑」されて、この岩屋の本当の姿が見えなくなっているのではないか。
私はそう思っています。

そもそも鬼婆がこの岩屋を作ったのではありません。すでにこの奇妙な岩屋は、鬼婆が来る前からあり、それを利用して小屋掛けをしたのです。

巨石群と、不思議な構成の岩屋。そして人骨と縄文土器や弥生土器

これは、縄文時代あるいはそれ以前の巨石遺跡ではないのか。
岩屋の下から骨が見つかったのは、ここが古代の祭祀場だったからではないのか。

仏教説話の要素を取り去れば、ここは古代の祭祀場=聖地だったと考えるのが、もっとも妥当であると私は思います。



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Author:sazanamijiro
古代史マニアですが、特に自然神道期の多様な信仰遺跡に魅せられています。

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