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梅宮大社・知られざる名庭園と神道史

(昨日の記事・梅宮大社の続きです)

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下の写真は、某神社の境内末社です。その足元をご覧ください。

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「井桁土台」すなわち「井」の漢字のようになっています。柱が土に埋め込まれてはいません。

古い絵図でも、「井桁土台」とそうでないものが並立しています。

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                       (『年中行事絵巻』 巻3  闘鶏)


三宅和朗氏、『古代の神社と祭り』の中で、

「祭りの場に神輿、すなわち井桁土台の建物を置き、祭りが終わればそれを運び去るものなのだろう。まさに、仮設の神殿の系譜を引く建物といえるのではないだろうか。」

と書いておられます。このことは、建築史家の稲垣栄三氏も指摘されているそうです。

いまある神社神道のスタイル、例えば鳥居があり、手水舎があり、社務所があり、拝殿があり、奥には本殿。さらにはほぼ全国共通の参拝マナーがあるなどというのは、縄文時代から続く神道の歴史(異論はあるでしょうが)の中では、かなり新しい様式です。大昔から続く神道の信仰スタイルだというわけではありません。

ご神木や磐座を拝んでいた時代を原始神道とし、現在の神社スタイルを神社神道とするなら、その両者の間にはさまざまな中間形態があります。

下は、世界遺産の宗像大社です。

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社殿は重厚ですが、最も神聖な場所は「沖ノ島」。

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ジオラマで見ても、むき出しの巨石に対する信仰だということが分かります。

その次に神聖な場所は、「高宮祭場」です。

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ここには、社殿はおろか、岩も巨大なご神木もありません。しかし説明板にも書かれているように、ここが世界遺産宗像大社におけるNO.2の聖地なのです。「神様は立派な本殿の奥深くにおられるもの」という常識は通用しません。

正直言うと、私自身
「え、なにここ。ただの更地じゃん!」
と驚いたくらいです。


さらに、日本で最も古い神社のひとつである、奈良の大神神社。

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写真に写っているのは拝殿で、そもそも本殿はありません。背後の三輪山自体がご神体なのです。
本殿の奥深く・・・どころか、どこからでもご神体が見えています。

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これらは、原始神道と現在の神社神道の、いわば中間形態を示しています。

こういった中間形態の身近な例が、「井桁土台の建物」だということを、三宅和朗氏が『古代の神社と祭り』で述べておられるわけです。


ただし、最初の写真で示したように、現在でも井桁土台の祠はあります。それが古い伝統を受け継いでいるのか、それとも小ぶりの祠における強度と設計の問題なのか、私には判断する力はありません。
しかしこの梅宮大社の祭祀形態が、神道祭祀の変遷について大きな資料を残してくれているのは確かです。

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本来この辺りは桂川の低湿地で、洪水のたびに水に浸かる場所です。対岸の松尾大社は、少し山麓を上がったところにあり、洪水でも水に浸かることはないでしょうね。しかし梅宮大社は、洪水リスクのある場所を「やしろ」とし、規模は小さいものの磐座を設置して、後世には社殿を建てたようです。その立地のため、しっとりと美しい池が可能でした。

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実は、このことは日本の庭園史や「宇治平等院」にも関係するような気がします。そのことは改めて記事にしようと思います。



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Author:sazanamijiro
古代史マニアですが、特に自然神道期の多様な信仰遺跡に魅せられています。

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