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岩神神社のゆるぎ岩を推理しました

和良の重ね岩(ゆるぎ岩)が結構好評でしたので、「赤磐のゆるぎ岩」も詳しく紹介します。


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所在地は、岡山市赤磐市惣分、「ドイツの森 クローネンベルグ」の南にある岩神山の山中です。麓の集落から20分ほど登ると、岩神神社が鎮座していて、その境内は巨石累々。


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まず、社殿と呼べるのは、上の質素な拝殿だけです。
ここには、ホームセンターでよく見る引出しケースがあって、その中にはお札などが入っていました。


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これはおみくじ付きの福だるま。既製品なのでしょうが、裏に「岩神神社」のシールがはってありました。引出しの中から取り出して、お礼の心づけを置きます。シンプルですが我が家の宝物です。

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掲示されている案内図によると、拝殿に接するこの岩が、ご神体のようです。

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そしてこの背後に、驚くべき光景が広がります。

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次がめざすゆるぎ岩。

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見る角度を変えます。

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ゆるぎ岩の大きさは次の通りだそうです。

上岩(船岩) 長さ5.2メートル、幅1.8メートル、高さ0.9メートル
中岩 長さ5メートル、幅2.5メートル、高さ1.5メートル
下岩 長さ6.7メートル、幅4.6メートル、高さ3メートル




赤磐市教育委員会の説明にはこうあります。

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赤磐市指定文化財 岩神のゆるぎ岩 惣分
岩神神社の御神体である巨石群の一つ。船形の石(長さ5m)が台石と一点で接し支えられ、揺り動かすことができる。このため、ゆるぎ岩と呼ばれる。花崗岩が節理にそって割れ風化して生じたもので、自然の造形による。一帯は花崗岩帯であり、この岩に特有な風化状態を示す代表的なものである。周囲には畳岩・烏帽子岩があり、岩神神社は脳の病気に霊験があるとされる。
            昭和五十四年十二月指定 赤磐市教育委員会



「花崗岩が節理にそって割れ風化して生じたもので、自然の造形による」などとは到底思えません。私も随分巨石の風化や節理を見てきましたが、こんな類例はどこにもありません。


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上岩とその下の中岩の接点は、明らかに凸凹をつけて、やじろべえ的な可動構造になっています。実際に力を入れると、ゆっくりと動くのですから大したものです。


また上の岩は船岩とよばれ、こんな伝説があるそうです。

昔、船岩がなぜか崖下に落ちた。すると近郷では悪病が流行し、大いに苦しんだ。
そこで里人達は山に登り祈願をしたところ一夜のうちに、船岩は元通りになっていた。
多分、天狗の仕業であろうと里人は言い合った。岩の上には今でも天狗のつめ跡が残っている。


落ちた岩が一夜にして元に戻っているというのは、全国各地に分布する民俗伝承です。古い信仰がうかがえます。
さらに、ゆるぎ岩は神聖なものであり、分離、破壊すると祟りに合うという、強い戒めを感じます。



ゆるぎ岩・揺らすという思想

何度も書きましたが、神道的には祭りの神輿を揺らすのと同様、魂振(たまふり)による神威賦活を目的として作られた特殊な磐座だと推測します。神聖なものを揺らす行為は、天皇の祭祀から民間の祭りに至るまで、日本の神道における重要な作法なのです。

いわゆる鎮魂(ミタマシズメ・ミタマフリ)とは、枯渇する人の魂を振り起こし、衰微する魂の生命力を再生する救霊の呪法です。そして鎮魂祭は、人の肉体から遊離しようとする「魂」をしっかりと体内に鎮め固定し(魂鎮め)、「タマフリ(魂振り)」をすることによって人の生命力と活動力を強化すると考えた古代信仰から生まれた神事(祭祀)なのです



神輿(みこし)をなぜ揺らすのか?

タマフリなんて、そんな話聞いたことないなあ、という方のために、下の記事をお借りしました。

岩手県二戸市福岡鎮座の呑香稲荷神社様の「呑香稲荷神社ブログ」
2017年09月21日 神輿渡御について(2)
より抜粋

神輿を大きく振り動かすのは、
「魂」を振り動かし、神威を高める目的です。
勢力を高めるという言葉の方がわかりやすいかもしれません。
神輿に乗せた神様とともに、
担いでいる人の魂も一緒に揺り動かします。

人間も穏やかに暮らすことが一番ですが、
時には力強く、思い切って事にあたらなければなりません。
そんなときには、魂をより力強く揺り動かし、
魂の力を高めることが重要なのでしょう。


神輿に乗せた神様とともに、担いでいる人の魂も一緒に揺り動かします」という言葉には、目からうろこの思いでした。私は、神様の力を再生するということしか頭になかったのですが、やはり専門家のご神職様の言葉には説得力があります。

また「どの地域であっても、神様の力をいただいて暮らしていくという気持ちには変わりはないのだと思います。」とも書かれていました。これが、神道の神髄ですね。勉強させていただきました。



身近にある「振るう」の思想

この神道思想は、実は身近にいくらでもあります。

Weblio  三省堂 大辞林
ふる・う ふるふ [0] 【振るう・揮▽う】について


「振るう」は“振り動かす。勢いが盛んになる”の意。「木刀を振るう」「親に暴力を振るう」「台風が猛威を振るう」「成績が振るわない」 「揮う」は“能力を発揮する”の意。「健筆を揮う」「熱弁を揮う」「料理の腕を揮う」 「震う」は“ふるえる”の意。「体が震う」「震い付きたくなるほどいい女だ」 「奮う」は“気力を充実させる”の意。「勇気を奮って立ち向かう」「どうぞ奮ってご参加ください」 。

というわけで、このような思想はしらずしらず多くの日本人が潜在的にもっている民俗思想です。その思想が古代においては、慣用句のレベルではなく、きわめて明確に意識されていたことはほぼ間違いないでしょうね。私は、この思想による巨石構築・巨石祭祀が、ゆるぎ岩の本質だと思います。



余談ですが
運動会の「フレー、フレー」とは何者なのか?

運動会でなぜ「フレー、フレー、赤組」などと応援するのか、不思議に思った方はおられませんか?
やはりこれは「振るえ」「奮え」の神道思想が起源のひとつでしょうね。

こう書くと、「いや英語のhurray (フレイ) に由来するのであって、神道思想などというのは我田引水でしょう。」という反論があろうかと思います。
しかし、英語のhurray は オランダ語 hoera (フラ、ウラ)、ゲルマン語 hurra/hurre (フラ、フレ)、フランス語 allez (アレ)などに源流の痕跡が見られ、起源はロシア、さらにその語源はモンゴル語のhuraa フラーに遡るという説があります。

本来の「ウラー」「フラー」は軍隊の雄叫びであり、今もロシアの兵隊は「ウラー!」、モンゴルの兵隊は「フラー!」といっせいに歓声を上げるのだとか。これは、いわば「エイエイオー」に当たるそうです。

モンゴルといえば、古代シャーマニズムの起源地のひとつです。朝鮮半島経由で、卑弥呼などのシャーマニズムに間接的な影響を与えていた可能性は十分あります。

ひょっとすると、モンゴル語のhuraa が欧米経由で伝来したのが英語のhurray で、中国や朝鮮経由で伝来したのが神道の「振るえ」「奮え」だった可能性がゼロとは言えませんよね。(ここまでくると、神道という言葉の妥当性も出てきますが・・・)

というわけで、運動会の「フレー、フレー」は「振るえ」「奮え」の神道思想が起源のひとつだ、という結論で、本日の〆とさせていただきます。(古代言語の専門家の方、まあ笑って見過ごしてください(^^♪)


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コメント

ゆるぎ岩は神の岩

>というわけで、このような思想はしらずしらず多くの日本人が潜在的にもっている民俗思想です。その思想が古代においてもっと明確に意識されていたことは、ほぼ間違いないでしょうね。

〇興味深い記事と写真でした
 ゆるぎ岩を初め、地震でころげ落ちそうな岩がいくつかありますが、ころげ落ちていないところに謎と神秘、まさに神の岩を感じました。
 草々

Re: ゆるぎ岩は神の岩

いつもありがとうございます。
神社の正面写真には、ほとんど岩がありません。拝殿の裏にだけ、集中的に巨岩が積まれている印象を受けます。
やはりそれなりの意図や設計をもとに作られた神域ではないかと思うのですが、証拠がないのが残念です。

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プロフィール

sazanamijiro

Author:sazanamijiro
古代史マニアですが、特に自然神道期の多様な信仰遺跡に魅せられています。

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