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山添村の巨石ミステリー

この巨大な丸石・・・・


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奈良県山添村のシンボルともいうべき、この不思議な巨石は、山添村ふるさとセンターの敷地にあります。

ふるさとセンターの造成工事をしていた1992年、小高い丘の頂上に、台座に乗った巨大な石のボールが現れました。重機を使って丘の上から転がし、爆破して始末しようとしましたが、撤去費用が700万円。そこでモニュメントとして残すことになったそうです。
これを名づけて長寿岩。

説明が全く異なる、二つの説明板がありました。


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ひとつはこれ。


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もうひとつには、古代史ロマンが記されます。


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巨大丸石の背後に見えていたのは、山添村ふるさとセンター・ふれあいホールです。


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平成15年11月22日、ここで「イワクラサミット in 山添」というイベントがありました。


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基調講演が奈良大教授の水野正好さんで、和太鼓演奏やシンセサイザー演奏などもある、賑やかな大会でした。熱気あふれる会場の片隅に、私も参加していたのです。

この年のことを思い返すと、奇しくも「勝ちたいんや!」の星野仙一監督率いる阪神がリーグ優勝を果たし、巨人の原辰徳監督が辞任した年でもあります。歴史は繰り返すのです。
・・・すみません、野球ファン以外にはどうでもいい話でした、"I'm sorry"(>_<)

ソーリといえば、平成15年の総理大臣は小泉純一郎さん。この年は、良くも悪くも日本が熱意と好奇心に沸いていたころでした。日本は元気だったのです。
『千と千尋の神隠し』が第75回アカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞し、『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』と『ハリー・ポッターと秘密の部屋』が、ともに興行収入173億円に達する大ヒット。

テツandトモの「なんでだろう〜」がこの年の流行語大賞だったように、巨石ひとつにも、なぜここにあるのか、なぜご神体なのか、呪術や魔法を含めてオカルトなモノにもロマンを感じる空気がありました。
そして「事件は現場で起きているんだ」という織田裕二(青島刑事)の名セリフが象徴するように、現場へ行って実際に現物に対峙しようという熱意がありました。
・・・いやまあ、さすがに無理ありすぎの我田引水ですが。

ただ、今よりはるかに、日本人の熱量と好奇心が高かった時代だったと思っています。

 ★

元に戻ります。

山添むらづくり協議会会長の奥谷和夫氏が「第4回 関西元気な地域づくり発表会」で
≪山添村の地域資源を活かした観光による内発的むらづくり≫
の取り組みを発表されています。
「鉄道が無く、コンビニが無い、信号が一つだけという無い無いづくしの村」において、石仏や磐座も地域資源として掘り起こし、観光による「むらづくり」を企図されていたのです。

ということは、がちがちの学術的論証ではなく、ロマンあふれる「巨石・磐座文化」という路線ですよね。たしかに昔からこの山添村周辺には、巨大な磐座や磨崖仏などがたくさんありました。古代史ブームやパワースポットブームにあやかり、それを観光資源とするのは、なかなかいい考えだったと思います。

で、先ほどの「長寿岩」。

夏至の太陽に関わる謎の十字ベルトというのが、この白い帯のようです。


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十字なのかどうかは確認できませんでしたが、近くの岩尾神社には、同じような岩がご神体とされています。


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長寿岩は、小丘上の土台石の上に据えられていたというのですから、やはり古代祭祀にかかわる巨石文化なのかもしれません。

そもそもこの山添村には、古くから不思議な巨石文化があるとして、一部の研究者の注目を浴びていました。
例えば、山添村菅生の「あたごさん」です。


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愛宕神社は火伏せの神様ですから、横に「火の見櫓」があるのにも納得。

あるいは、布目ダムから登る「岩屋桝型」も、あり得ない構成です。


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垂直な岩面の中ほどには、四角い穴が見えます。これが、桝形です。


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この巨岩のすぐ下方には、こんな巨大ドルメン?。


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説明板には、上の岩が二つに割れ、その半分が転がり落ちて下の岩になったと書かれています。「割れた岩が落下してドルメン状に着地? んなわけないだろ!」というのが私の感想です。

ちなみにこの類型は、大阪府交野市の獅子窟寺にもあります。


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さらに山添村大字大塩にある「鍋倉渓(なべくらけい)」には、壮大なロマンが書かれています。


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つまりこの黒い岩は、星座を地上に映すために人工的に集められ、配置されたという推論です。壮大過ぎるロマンですね。

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「バエない」「エモくない」「不便」という三重苦で、山添村の「石仏・磐座・巨石」が観光資源になっているのかどうか、それは私にはわかりません。
ただ、先日の日曜日、開いているはずの山添村歴史資料館に、縄文土器を見に行ったのですが、扉は閉ざされたまま。
すごすごと帰ったのですが、後で調べると、現在では事前に予約が必要なのだとか。
やはり見学者は少ないのでしょうね。


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以前にも書きましたが、司馬遼太郎さんは、私たちが普段「これこそ日本の伝統信仰だ」と思い込んでいる現在の神社信仰様式、つまり神様の名前やご利益や参拝方法、さらには神社関係団体のありようなどは、「民俗的な古神道とは縁がな」く、そしてそれらは「明治国家が発明した信仰の様式」だと断じています。

あるいは島田裕巳さんは『神社崩壊』という新潮新書の中で、

もっとも古いあり方では、神社の建物などはいっさい存在せず、神との出会いは磐座でなされた。そこで、祭祀を行うことによって、神を迎え、捧げ物を行い、託宣を下してもらっていた。
ところが、仏教の寺院建築の影響もあったのだろう、神社にも社殿が建てられるようになり、神はその社殿に常在すると考えられるようになった。果たしてそのことを神が受け入れたのかどうか、その点はいっさい不明である。


と書き、さらに、現在本殿に祀られる鏡などのご神体に関し、
「この考え方が、いったいいつ誰によって生み出されたのかは明らかではない」
と明確に書かれています。

読み飛ばす人が多いところでしょうが、実は本質的な問いだと思います。私もまったく同感です。

現在の神社信仰で、もっともらしく語られる、「二礼二拍手一礼」とか「お賽銭のマナー」とか「参道の中央を歩かない」とか「手水舎の作法」とか、それらはいったいどこで決まったのか、私も不思議でなりません。

古事記の天孫降臨では、天照大神が「此れの鏡は、専ら我が御魂として、吾が前を拝くが如伊都岐れ」と記されますが、明確な根拠はこれぐらいでしょう。
「果たしてそのことを神が受け入れたのかどうか」という、エスプリが効いた言葉に、深い意味を感じる次第です。

いずれにしろ、私たちが当たり前だと思い込んでいる神社信仰の原点が、山添村という「鉄道が無く、コンビニが無い、信号が一つだけという無い無いづくしの村」だからこそ残っているというのは確実です。(まあ、自販機は時々ありますが。)
伝統信仰というものに「なんでだろー♬」と感じておられる方は、のんびりほっこり、しかし古代史ミステリーには確実に出会える山添村に、いつかはお越しくださいませ。

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長寿岩なら、ビュンビュン飛ばせる名阪国道(上)の山添インターから、たった三分で到着します(^^♪

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コメント

優しい感じの大岩

サザナミ様、毎日、記事の更新を楽しみにしています。本当にありがとうございます。
山添村は不思議な場所ですね。私も例の大きな丸石を見に行きました。優しい感じの丸石で、このままの形で出土したしたというのは驚きでした。石を触って、力をもらった気になりました。

今日のニュースで下記のようなものがありました。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/photos/900000854.html
せっかく素晴らしいものを見つけたので、破壊せずに山添村のように残せば良いのにと思いました。

Re: 優しい感じの大岩

鯨 様
そうか、鯨さんも長寿岩見に行かれたのですね。それから添付していただいた巨岩のニュース、私も見ました。記事を出すのが一日後だったら、ブログのなかに入れ込めたのにと、ちょっと残念でした。やはり撤去費用はバカにならないようで、そのうち注連縄でも巻いて、町おこしに使われるかもしれませんね。

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Author:sazanamijiro
古代史マニアですが、特に自然神道期の多様な信仰遺跡に魅せられています。

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