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樂樂福神社と鬼・「鉄は国家なり」

(今回は、地味でお気楽な話題ですが、お付き合いくださると幸いです。)

た、大変です、巨大な鬼が建物の上に出現⁉


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こっ、これはもう、ウルトラマンか進撃の巨人の調査兵団を呼ぶしかない。
皆様もそう思われたに違いありません。
(・・・そんなやつおらんやろ!)

しかしご安心ください。すでに鬼は、第七代孝霊天皇(『日本書紀』では大日本根子彦太瓊天皇)が退治されていました。
ほっとします。
(・・・えらい古い話やないか。しかも闕史八代!)

ムダなボケ・ツッコミはともかく、この鬼は鳥取県西伯郡伯耆町、おにっ子ランドの銅像でした。
そして、この鬼の伝説に関わるお社のひとつが、鳥取県西伯郡伯耆町宮原の樂樂福神社です。


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樂樂福」あるいは「楽楽福」は、なかなか読めません。
じつは、「ささふく」と読みます。
鳥取や島根以外の方には、ほとんどなじみがないと思うのですが。

では、「ささふく」とは何の意味なのでしょう?
その答えは、この由緒書きに書いてありました。


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つまり、「ささふく」とは「砂鉄(ささ)吹く」なのです。
ただし社伝では、第七代孝霊天皇が鬼住山の鬼を退治し、そのままここに住んで崩御されたため、お社を造ったとされます。
(なぜか天皇と製鉄の関係は記されていません。)

そしてここが、孝霊天皇の古墳だとされてきたそうです。


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まあ宮内庁の管理が全くなさそうですから、地元だけの伝説なのですね。

このお社では、かつての社家は物部系の苗字だったとか。
垂仁天皇が物部十千根大連に命令して、出雲の神宝を取り上げたという『日本書紀』などの記述を参考にすると、ヤマト王権の物部軍団と出雲系の在地軍団が製鉄資源をめぐって戦い、負けた在地系が後に鬼とされた可能性があります。

何といっても「勝てば官軍」で、負ければ凶悪な鬼とかにされるのは世の習い。
まあ太平洋戦争における「鬼畜米英」のように、敵を邪悪な鬼と見るのは、古代から続く伝統なのでしょう。

ちなみに、「笹」を金銀銅鉄などの市場価値ある金属だと考えると、
十日えびすの
商売繁盛で笹もってこい♪
のフレーズや、民謡『会津磐梯山』の有名な歌詞、
会津磐梯山は宝の山よ 笹に黄金が成り下がる♪
の本来の意味が見えてくると思います。

  ★

話は変わりますが、国武万里さんの「ポケベルが鳴らなくて」という歌は、今でも時々テレビや有線で流れます。しかし、若い方には意味不明な歌でしょう。当時はビジネスも恋愛も、ポケベルが連絡の要でした。そして1980年代後半から1990年代にかけて流行した後、PHSや携帯電話に移行していきます。

一方、伝統的なたたら製鉄は、弥生の昔から軍事や農業生産の要でした。しかし明治以後は、近代的な製鉄方法に変わります。
1858年釜石で、南部藩士の大島高任が洋式高炉による初出銑・操業に成功したことに始まり、1901年には八幡製鉄所(現新日鉄)による本格的な鉄鋼生産がはじまって、能率の悪いたたら製鉄は一部を除き全滅しました。
つまり、ポケベルの意味が解らない若い人と同じで、たたら製鉄が国家の存亡にかかわる重要産業であったことに、私を含めて現代の日本人のほとんどは理解できず、当然それに関わる神や信仰の重要性に気づくこともありませんでした。
重要な伝統を忘れ去っている、多くの日本人に待ったをかけたのが、映画『もののけ姫』であり、民俗学者の若尾五雄さんや谷川健一さんの著作だったのです。


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上の本では、≪第一章 楽楽福大明神≫から、古代製鉄の話が始まっています。

 ★

こちらは、京都府福知山市大江町の「日本の鬼の交流博物館」です。


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ここ、大江山の鬼(酒呑童子)源頼光に退治され、その首は京都市と亀岡市の境界である老の坂峠に封印されます。


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首塚は、京都の最凶パワースポットの一つとして知られる場所です。


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怨霊を封印するのは、前回記事と同じパターンですね。

しかし、若尾五雄さんや谷川健一さんによれば、鬼の住む大江山は一大鉱山地帯だし、多田源氏(頼光)の拠った多田は、言うまでもなく多田鉱山が有名です。鬼の話と旧鉱山跡とは共存するというのです。

『鬼退治』の伝説には、鉱山の支配権をめぐる争いの側面があるのなら、楽楽福神社の鬼伝説もまた、同じでしょう。
ひょっとすると、「楽」や「福」という文字がつくお社の原始の姿は、鉱山やたたら製鉄にかかわるものであったのかもしれませんね。


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Author:sazanamijiro
古代史マニアですが、特に自然神道期の多様な信仰遺跡に魅せられています。

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