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日本のアダムとイブ伝説・知られざる沖縄の聖地とは?

古宇利島は、沖縄本島北部にあるエメラルドグリーンの海に囲まれた小さな島です。
2005年に隣の屋我地島との間に古宇利大橋が開通しましたが、沖縄の原風景が今も色濃く残っています。


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(ウイキペディア)


この島で有名なのは、ティーヌ浜にある、このハート岩


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ここは、国民的アイドルグループだった『嵐』が JALのCM「ニッポンをみつけようきれいな海」編の撮影を行った場所として、一躍有名になった絶景スポットです。
しかしまあ、ラブラブカップルで見に来るハートにしては、ギザギザすぎですよね。

♬~ちっちゃな頃から悪ガキで 15で不良とよばれたよ
ナイフみたいにとがっては 触るものみな 傷つけた
(チェッカーズの「ギザギザハートの子守歌」)

歌はともかく、この島には、高天原の記紀神話とは異なる、不思議な人類発祥神話が語られています。
記紀神話だけが日本の神話ではなかったという、たいへん重要なストーリーです。

昔、古宇利島に空から男女二人の子供が降ってきた。彼らは全くの裸であり毎日天から落ちる餅を食べて幸福に暮らしていた。ある時餅が降らなくなったらどうしようと思い、毎日少しずつ食べ残すようになった。ところが二人が貯えを始めたときから餅は降らなくなった。二人は驚き悲しんで天のお月様に向かって 「お月様、お月様、もちを恵んでください!」 と何度も哀願したが、二度と「もち」は落ちてこなかった。 それからの二人は生きるために働くようになった。 ある日、二人は浜辺でジュゴンの交尾するのを見て、初めて男女の意味を知り、クバの葉で陰部を隠すようになった。 今の沖縄県の三十六島の住民はこの二人の子孫である。


「沖縄版アダムとイヴ伝説」といわれますが、実はこのストーリー、神話学的には兄妹始祖創世神話と呼ばれるカテゴリーに分類されます。

下は、この神話の舞台であるシラサ岬のチグヌ浜。


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下に空洞がある、特異な景観ですね。

よく見ると、岩の上にこんなものを発見!


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天降世立口世ヌ火神
と記した祭祀場所がありました。
「天から火の神が降りた」という意味です。この岬では神人(かみんちゅ)が海神祭(うんじゃみ)の儀式を行う聖地のようです。
豊漁、豊作、航海安全、島の繁栄などを祈るお祭りが行われているとか。

ちなみに、沖縄で最も大切にされている火の神は、太陽でもあり、記紀神話における「天照大神」と同じ性質だとされます。

  ☆

松前健『日本神話(大和書房)』のP.32に、原古の岩という概念が出てきます。

大林太良は、東南アジアの兄妹相婚譚のなかで、ヴァルクなどが「原初洪水型」と呼んだ、原古の海洋のなかから岩が出現し、その上に兄妹が降って来て婚し、人類の祖先となったという伝承(洪水の件が最初から欠けている伝承)があり、これがイザナキ神話の原型であったのではないかと述べている。筆者もかつてオノゴロ島で婚する話は、「原古の岩」という南方系の伝承のモチーフと同じではないかと論じたことがある。

そして当の大林太良さんは、『神話の系譜 講談社学術文庫』のP.206にこう記しています。

ここで東南アジアの例をいくつか紹介しよう。スラウェシのバランテ半島の創世神話は発端の部分では、イザナギ・イザナミ神話と同様に、原初海洋中の島に兄と妹が天降って結婚したことになっている。しかしその神話の続きが面白い。兄妹は何か必要なものがあると、男が天に上って天神からもらってきた。しかし、月日のたつうちに二人は自分でも農耕を始め、必要をみたすようになったところ、天との結びつきは切れてしまった。

繰り返すまでもなく、古宇利島の神話は、これらの類型神話の典型的なものでしょう。
それはまた、日本神話におけるイザナギ・イザナミ神話に影響していることがわかります。

おそらく、先ほどから写真を載せている岩は、、「原古の岩」の一つなのでしょう。


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そして日本本土においては、海人族によって伝えられたこの類型神話が、いつしか淡路島に伝播したと推測されます。イザナギ・イザナミ神話の原郷たる、淡路島周辺のこれらもまた、「原古の岩」だったのではないのでしょうか。


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この神話・信仰の一部が、のちにヤマト王権に取り入れられ、整然としたストーリーの一環として記紀神話に組み入れられたものと思います。

もはや興味を持つ人も激減し、滅びゆく「日本の神話学」にかかわる記事でした。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
こんな観点も必要かもな・・・少しでもそう思っていただければ幸いです。


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Author:sazanamijiro
古代史マニアですが、特に自然神道期の多様な信仰遺跡に魅せられています。

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