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加賀の旧潜戸・死者の積石を考える

加賀の潜戸には、全く異なる二つの洞窟があります。
そのひとつは前回記事にした「新潜戸」。


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そしてもうひとつが「旧潜戸」です。


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すぐ近くにありながら、「新潜戸」は太陽神誕生の光り輝く洞窟であり、「旧潜戸」は死者の眠る暗い洞窟という、正反対ともいえる見事な対比がありました。

旧潜戸へは、遊覧船がすこし離れた桟橋に着くため、上陸してトンネルを通ります。


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長いトンネルを歩くと、何とも畏怖感のあふれた旧潜戸です。


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かつては、上の場所に小さな遊覧船が着岸していたのでしょうか。

それにしても、ぎっしり積まれた石積みが異様な神秘感を醸し出しています。


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全国あちこちに、こんな石積みがあります。
いったいこれらは、どんな民俗文化なのでしょう。

  ☆

登山者にとっては、三角錐状に積まれたケルンは道標であり、時に遭難者の慰霊碑であったりします。
フランス南西部のルグルドゥ洞窟では遺体の上に石積みがあり,墳丘状施設の最古の例だとされますから、死者との関係は古そうです。
日本各地には、賽の河原などとして水辺によく見られます。

『賽の河原和讃』
一つや二つや三つや四つ 十よりうちの幼子(おさなご)が
母の乳房を放れては 賽の河原に集まりて
昼の三時の間には 大石運びて塚につく。
夜の三時の間には 小石を拾いて塔を積む。

一重(ひとえ)積んでは父の為
二重(ふたえ)積んでは母の為
三重(みえ)積んでは西を向き
しきみほどなる手を合わせ 郷里の兄弟わがためと
あらいたわしや幼子は 泣く泣く石を運ぶなり。


幼くして死んだ子が、賽の河原で泣きながら石を積んでいると、鬼が来てぶっ潰すというのですから、何とも物悲しいストーリーです。
「竈門炭治郎はん、児童虐待のこの鬼をまずボコボコにしたってや・・・」


これは、「人は死ねば(魂は)お山(恐山)さ行ぐ」と言い伝えられてきた恐山。


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ここでは、

「恐山に行けば死者に会える」
「河原に石を積み上げ、供物をして泣くと先祖の声を聞くことができる」
「夕刻に河原に小石を積み上げても、翌朝には必ず崩れている」

などと言い伝えられてきました。


さらに、神々の住む高天原にもこんな習俗はあったようで?、これは高千穂の天岩戸神社西本宮に近い「仰慕ヶ窟(ぎょうぼがいわや)」。


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以前は社のみがあって信仰の対象となっていましたが、いつのまにか祈願を行う人たちの手によって石が積まれていくようになったといわれます。
こんな場所に石を積むのは、もはや日本人の本能的行動なのでしょうか。

  ☆

五来重さんは、その著『石の宗教』のなかで、

日本人が仏教以前に霊をまつり、回向するためには、その依代として常盤木を立ててヒモロギとし、石を積んで磐境としたものであったと思う。

と石積みについて書かれています。

「新潜戸」という太陽神誕生の光り輝く洞窟と、「旧潜戸」という死者を弔う暗い洞窟。
まさに陰と陽の伝統信仰、日本を代表する伝統的絶景だと思います。


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コメント

なかなか異様な光景ですね。柳田民俗学的というか。石塔というモニュメントは、なんか人類共通みたいな感じもします。日本の場合、巨岩信仰に仏塔・ストゥーパのイメージが乗っかったような…。

Re: タイトルなし

> 石塔というモニュメントは、なんか人類共通みたいな感じもします。

モンゴル人のオボーなども、自然石を積み重ねて神霊が宿る聖所としているようです。
積石塚は岩石信仰の普遍的な姿かもしれませんね。

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sazanamijiro

Author:sazanamijiro
古代史マニアですが、特に自然神道期の多様な信仰遺跡に魅せられています。

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