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なんと、ご神木に強制代執行(伐採)とは!

道にはみ出た神社の木、市が伐採 迫る宮司「ご神木が」

先日、こんなニュースがネットに流れました。(2020年6月21日 8時43分 朝日新聞デジタル)

東京都八王子市の某神社で、境内や近くの宮司宅の敷地から、樹木の枝葉が周囲の国道や市道にはみ出し危険だとして、国土交通省相武国道事務所と八王子市は20日、行政代執行法に基づき、強制的に伐採する異例の代執行を始めた。

これだけでもなかなか衝撃的なのですが、さらにこんな文も。

近隣住民から苦情が相次ぎ、行政指導を繰り返したが、改善がみられないと判断し、チェーンソーで枝葉を切り落とした。ほうきと、ちりとりを手にした宮司とみられる女性が「ご神木が枯れてしまったらどうするんですか」と市側に詰め寄り、警察官に制止される場面もあった。

「ご神木」という言葉がなければ、ゴミ屋敷撤去ニュースレベル、ワイドショーのB級ネタでしょう。
いったいなぜんなことになったのか。ご神木を伐採するというのは、いろいろな思惑が絡んで、なかなか複雑な事態だったのだろうと推測します。
しかし代替案がない以上、安全な市民生活や交通安全が優先されるのは、仕方がないことだと思います。

  ☆

本来は伐採されるところを、見事な代替案で保存している例がありました。
大阪府寝屋川市萱島本町、京阪電車の萱島(かやしま)駅を上下に貫く、クスノキです。


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昭和47年(1972年)に駅を高架・複々線にした際のこと。地元の人々のクスノキに対する尊崇の念に応えて、新萱島駅のホーム・屋根に空間を設け、クスノキを残すことになったそうです。

上のホームでは、こんな様子です。


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では、境内に伸びる、本来のご神木をいくつか紹介します。
まずは、同じ京阪沿線、大阪府門真の三島神社にある薫蓋樟。これもクスノキです。


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  ☆

これは、和歌山県古座川町にある、光泉寺の大銀杏。


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推定樹齢は300~400年、樹高は30メートルで、和歌山県下最大級の銀杏です。

  ☆

次は、熊野那智大社の境内にあるご神木です。


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これは平重盛のお手植えの木で、樟霊社という社として祀っています。
根元が空洞になっていて、その空洞は胎内くぐりとして通り抜けられます。

  ☆

愛媛県今治市大三島町の大山祇神社といえば、全国にある山祇神社や三島神社の総本社です。
その境内にある、乎千命御手植の楠(おちのみことおてうえのくすのき)。


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同じ境内にあるのが、能因法師雨乞いの樟です。


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まるで、龍の顔のようにも見えるのですが・・・。
枯れてはいるものの、幹周17mで推定樹齢は3000年。日本最古のクスノキと言われています。

  ☆

最後は、蒲生のクス。
鎮座地は、鹿児島県姶良市蒲生町の蒲生八幡神社境内です。


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国の特別天然記念物で、高さ約30メートル、地上から1.3メートルの高さでの幹周は24.2メートル、根回り33.5メートル、幹の中には広さ約13平方メートル(畳8畳分)の空洞があり、樹齢は約1500年と推定されています。
昭和63年(1988年)に行われた環境庁による巨樹巨木調査(昭和63年度)において日本最大の巨木と認定。

それにしても1500歳・・・「もはや神」と言われるのもよくわかりますね。
宇佐八幡宮神託事件で大隅へ配流された和気清麻呂が当地を訪れ、手にしていた杖を地に刺したものが根付いたものと伝えられます。
蒲生舜清が蒲生八幡神社を創建した保安4年(1123年)の時点では、既に神木として祀られていたそうです。

  ☆

楠が多くなりましたが、神社境内にいちばん多いご神木は、杉かもしれません。
いずれにしろ、岩石である磐座とは対照的な存在ですが、生命ある古木の畏怖感は、私たちの心に訴えるものがあるように思います。

そんな、生きた歴史遺産・民俗遺産として、伝統信仰の奥深さを感じさせてくれるご神木。
そんなご神木に対する、八王子の「強制執行」は、そこだけの珍しい事件なのでしょうか?
いや、ひょっとすると、なにか大きな流れの中の、単なるひとコマに過ぎないのかもしれません。

つづく

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コメント

罰当たりが多い世の中

いつも興味深い記事をありがとうございます。
さざなみ様が御紹介下さったようなことが、まさに
愚生の住んでいる町で行われようとしております。
http://goutara.blogspot.com/2020/06/blog-post.html

大御和神社は、三輪一族に通じるとも。
これを宮司が率先してやっているのですから
世も末であります。
掘ったら何かは必ず出るだろう土地だと
思うので、埋蔵文化財の発掘調査で中止になる
ことを期待していたのですが、業者は目隠しに
余念がないようで・・・。
罰当たりが多い世の中になってきて、本当に
悲しいこの頃です。

Re: 罰当たりが多い世の中

鯨 様

いつも情報ありがとうございます。
ぐーたら気延日記様の新聞記事、そのまま明日の記事で使わせていただくことにしました(^^♪
やはりこのご時世、神社の経営も大変なようですね。

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Author:sazanamijiro
古代史マニアですが、特に自然神道期の多様な信仰遺跡に魅せられています。

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