fc2ブログ

記事一覧

奇妙で美しい神社アートの謎・卑弥呼と天照大神と神功皇后と日食

ふつう、神社についての関心事と言えば、ご祭神とご利益、あるいは祭礼だと思います。
しかし今回は、彫刻やしめ縄や奉納物など、アートな領域を注目したいと思います。

まず、初めて見た人が必ず驚くものの一つが、青森市から津軽半島にかけての地域に多い「じゃんばら型しめ縄」です。


IMG_7366_convert_20180827125743[1]


IMG_7369_convert_20180827130001[1]


IMG_8658_convert_20180827131025[1]


IMG_8661_convert_20180827131115[1]


まさに民俗信仰の芸術品ですね。

  ☆

上のような地域的文化に対し、全国どこへ行っても隠れている小さな驚きが、屋根周りの装飾です。
例えばこれは、岡山県総社市のお社です。


DSCN7344_convert_20200511200702.jpg


そして、社殿の屋根を見上げると。


IMG_5953.jpg


なぜキリスト教の天使がここに・・・いやそれにしては、ちょっとメタボなおじさんですよね??


DSCN7325.jpg


よく見ると、烏天狗さんのような、修験道系の装束のようです。

ほかにも、なにか訳アリの物語を表しているようですが、由緒書きにはその説明はありません。


DSCN7320.jpg


DSCN7321.jpg


IMG_6050.jpg


しかし、何の関係もないものを手間暇かけて作るとは思えません。いったいどんな伝説が隠れているのでしょうね。

  ☆

龍蛇神信に関わっては、全国津々浦々に不思議なものがあります。
例えばここは、高知県土佐清水市の龍宮神社。


IMG_5461_convert_20180806120219[1]


下の写真の左上に、白いポロシャツの私が写っています。ここがどんな環境の場所か、よくわかっていただけると思います。


IMG_5423_(2)_convert_20180805155745[1]


こんな壮大な岩場なのですが、お社の前にはこんな龍神様が・・・(多分)


IMG_5454_convert_20180806115940[1]


だれかがこの場所で、うろこ一枚一枚を精緻に彫ったのでしょうか?
一切の詳細は不明です。

  ☆

これは岐阜県中津川市、丸山神社の境内にある鮒岩(ふないわ)です。


DSCF5164[1]


DRTC_00857_convert_20180730174148[1]


社殿側から。


DSCF5179_convert_20180730174440[1]


神社も巨石も、由来や起源は分かっていません。
鮒に似ているから鮒岩だという説のほかに、こんな説も。

① クジラ
② 縦にすれば般若の面
③ 尾翼のある超古代の飛行艇(UFO)
④ 丸山の丘自体が人工のマウンドで、鮒岩はそのシンボルとして据えられた。

いずれにしろ謎の巨石なのですが、神社の拝殿には昔からこんな奉納物があります。


DSCF5193[1]


DSCF5198[1]


DSCF5195[1]


DSCF5202[1]


なかなかリアルで、単なる製作物とは思えない不思議な存在感です。
大きな龍蛇が二体もあるという事は、地元や氏子さんにとっては龍蛇信仰のお社なのでしょうか。

この角度から見ると、蛇の顔?


DRTC_00900[1]


この丸山神社は、苗木城主遠山氏の崇敬が厚かったと言われます。遠山家の守り神は龍王で、苗木城内にも八大竜王を祀る巨石がありました。
やはり奉納物が示すように、鮒岩も龍蛇信仰との関係を探る必要がありそうです。

  ☆

その他、社殿の装飾物には、その神社の特性をよく表しているものがしばしばあります。


IMG_7077_2020011613084220e[1]


IMG_6186_convert_20191126124038[1]

  ☆

さて、奈良県五條市西吉野町の深い山中に、波宝(はほう)神社が鎮座しています。


IMG_9414_convert_20200511200950.jpg


IMG_9418_convert_20200511201107.jpg

神功皇后と住吉明神を祀っています。

実はここに、驚くべき壁画がありました。
なんと、日食伝承を表しているというのです。



IMG_9424_convert_20200511205439.jpg


IMG_9428_convert_20200511205543.jpg


年月を経て薄くなっているものの、
太陽が金泥で表現され、その前に銀泥で描かれた月が半ば重なっています。
3羽の鶴は、祭神である住吉三神を表すのだとか。


伝説では、神功皇后が「三韓征伐」の帰途、この山で休んでいると、白昼がにわかに暗闇になったので、ここの神に祈ったところ、再び日が照り、明るくなったとされます。

これが単なる伝説として語られるのではなく、他では見たこともないような壁画として本殿に描かれていることは、日食が信仰上きわめて重要な意味を持つことがうかがえます。

なお、日食の下には波が鮮やかな絵がありました。住吉神の来臨でしょうか。

IMG_9430_convert_20200511205632.jpg


なかなか見事な装飾ですね。深い意味が秘められているのでしょう。


  ☆


さて、日本の古代史や神話上において、日食が重要なのは、私の知る限り下の二つ。

① 天照大神が岩屋に隠れるという天の岩戸神話の本質は、日食を象徴化したものとする神話学上の有力な説。

amateru.jpg
(『岩戸神楽ノ起顕』 1857年(安政4年)歌川国貞 画・ウィキペディアより)


② 西暦247年の日食が原因で魔力が衰えた卑弥呼が殺され、248年の日食が原因で男王に代わり壹与が即位したという説。 (これらの説は、邪馬台国北九州説や卑弥呼・天照大神説と密接に結びついている。)

上記のいずれも、古代史に興味のある方なら一度は聞いたことのある有名な説でしょう。

ここで重要なのは、波宝神社の日食伝説の主人公は、神功皇后であることです。

kougou.jpg
(『名高百勇伝』「神功皇后」歌川国芳 作・ウィキペディアより)


邪馬台国研究者の中では「卑弥呼=神功皇后説」の支持者が結構多いそうです。
さらに、天照大神は卑弥呼がモデルだったという説も昔からあります。
まさか、三人は事実上の同一人物?

まあそこまでの単純化は無理でしょうね。
しかし、天照大神と卑弥呼と神功皇后と日食・・・波宝神社の日食壁画は、きわめて重要な黙示録なのかもしれません。


IMG_9419_convert_20200511205222.jpg


なんとか記事を続けています。三つクリックしていただくと大変励みになりますので、よろしくお願いいたします(^_^)/~
にほんブログ村 歴史ブログへ
にほんブログ村

神社・仏閣ランキング

コメント

No title

飾り瓦の鯉とうさぎは定番ですね。しかもウサギは波乗りしてるものが多い。中には「水」という漢字を書いてるものもある。これはおそらく火災避けのおまじないでしょうね。愛知の三州瓦、群馬の藤岡瓦も同様です。でもウサギである必要性は分かりませんね。ウサギはツキ(月)を呼ぶからという俗説もあるが、神社や寺が古代から商業主義であったわけではないと思うのですが。

No title

こんにちは。。。
「じゃんばら型しめ縄」
まるで、お相撲さんの化粧廻しみたいですね。。。
お邪魔いたしました。。。

Re: No title

形名様

愛知の三州瓦、群馬の藤岡瓦にはしっかり定着した文様なのですね。参考になります。
これはいわゆる「波兎」のようですね。縁起物と火除けのようですが、謡曲『竹生島』の「月海上に浮かんでは、兎も波を走るか~」がもとになっているそうです。本来は竹生島の水神たる弁財天信仰に関わるものと思います。庶民の家の屋根ならそこまでは意識されていないと思いますが、神社の社殿なら元々の意味が意識されていたのか、それともやはり単なる魔除けなのか、その辺がわかりません。
あと、写真の兎は目つきが悪いような気がして、鯉になにかやらかしたような気がしないでもないのですが・・・。因幡の白兎的なストーリーを思い浮かべてしまいます。




Re: No title

ViVid Mr.K様

> まるで、お相撲さんの化粧廻しみたいですね。。。

そういわれれば確かにそうですね。
チト長すぎて、自分て踏んでしまうとは思いますが。

冬の雪の中では、コロナの今みたいに外へ出られず、みなさん縄をこつこつ編んでおられたのかもですね。

No title

鯨様

> 愚生は鯉幟を買って貰えなかったので出世しませんでした。

私は長屋住まいで、そもそも鯉幟のスペースがありませんでした。友だちもほとんど同様で、広い一戸建ての庭に鯉幟が泳ぐリッチなお坊ちゃまとの付き合いはなかったです(>_<)

まあそれはともかく、日本書紀に淡路島の海人集団が登場します。神功皇后の子、応神天皇がその妃を吉備に送るとき、淡路島の「御原の海人」に頼んでいます。応神王朝が淡路島の海人とツーカーなら、神功皇后も遠征には力を借りたとするのが普通ですよね。本殿の海の絵が、淡路島の海人と関わりがあったのなら、いろいろ興味深いです。

No title

素晴らしい注連縄ですね。
初めて見ました。
まさに芸術ですね。
私も神社では屋根をみたり
彫刻や奉納絵馬探しますが
芸術品だと感激することが多いです。
先日の北斗七星や北極星信仰。
こちらにも
巨石が北極星の方向を向いている場所があり
GWに行ってみようと計画していたのですが
外出自粛要請で断念しました。
いつか紹介したいと思います。

Re: No title

tor 様

> こちらにも
> 巨石が北極星の方向を向いている場所があり
> GWに行ってみようと計画していたのですが
> 外出自粛要請で断念しました。

いやー、ぜひぜひご紹介ください(^^♪
それにしても、もう少しコロナ騒ぎが収束しないと、堂々と府県境が越えにくいですね。
おそらく北辰信仰・妙見信仰は、まだ知られていないものもたくさんあると思います。その土地でしか知られていないのもあるでしょう。
お互い新たな発見が発信できるといいですね。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

sazanamijiro

Author:sazanamijiro
古代史マニアですが、特に自然神道期の多様な信仰遺跡に魅せられています。

フリーエリア