『風土記』に記された巨石磐座信仰
- 2021/06/29
- 06:00

磐座信仰や巨石信仰は、ほんとうに古くからあるのでしょうか?そしてそれらは、我が国の信仰史における、もっとも伝統的なものなのでしょうか?そう疑問に思われている方もあると思います。そこで、天平年間 (729~749) までに編纂されたとみられる『風土記』に、磐座信仰や巨石信仰が載っているのかどうか、探ってみました。 ☆『播磨風土記』の「埴の里」『播磨風土記』には、こんなユーモラスな話が記されています。大汝命(...
石の宝殿古墳と高良神社(寝屋川)
- 2021/06/27
- 08:00

本日は、なんとも不思議な石室を持つ古墳の話題です。この古墳は、寝屋川市の東端、打上元町の山中にありました。名前は、「石の宝殿古墳」。主体部の横口式石槨は2つの巨石を組み合わせたもので、底石の上に、直径3メートル 、高さ1.5メートルで内部をくり抜いた蓋石を置いています。くり抜かれた空洞部は、幅0.9メートル×高さ0.8メートル、奥行き2.2メートル。『河内国名所図絵』には、ここに置かれた金銅の壺内に白骨が収められ...
この下に藤原鎌足のミイラ? 阿武山古墳を探検する!
- 2021/06/25
- 06:00

大阪府茨木市の旧安威村には、こんな伝説があります。藤原鎌足は亡くなった後、安威の地に葬られた。しかし鎌足の長男である定慧は、多武峰(現在の談山神社)に改葬しようとした。しかし鎌足を慕う安威の人々はそれに反対したため、定慧はやむなく父の首だけを多武峰に持って行って葬った。そのため、鎌足お手植えであった大念寺の黄金竹は、成長すると先端部分だけが枯れるのだとか。首だけを切り取ったかどうかはともかく、この...
吉備津彦神社の人工島とストーンサークル
- 2021/06/23
- 06:00

吉備津彦神社や吉備津神社の鎮座する吉備中山、その山際から西へ2㎞ほどのところに、田園地帯に浮かぶ緑の丘があります。そこにあるのは岩倉神社で、かつては海に浮かぶ島だった可能性があるようです。地質学的に説明可能な自然の産物か、それとも他所から運ばれたものかは見解が分かれるところでしょう。しかし、川原石のような巨大な丸石が、ストーンサークルの一部分のように並んでいる場所があります。少くとも一部分は人工的...
昭和レトロ・『トワイライトゾーン』と 古代史ミステリー
- 2021/06/21
- 06:00
ウタキ(御嶽)とニソの社という神秘・これは神社の起源か?
- 2021/06/19
- 06:00

この本は、沖縄本島の書店で並んでいたものです。出版社は、どちらも沖縄県中城村の「むぎ社」です。それにしても、「沖縄の神社」と題するところを、なぜ「聖地」とか「拝所」などという言葉を使うのでしょうか。その理由です。神社本庁が包括する全国の神社数は、約8万社。そのうち、沖縄県にはいくつあるかというと、わずか11社なのだそうです。では、神社でなくて、何があるのでしょう?これらの本には、意味不明の言葉が沢...
ニギハヤヒとニニギ・誰も考えなかった視点で推理する!
- 2021/06/17
- 06:00

前回の記事で、ニギハヤヒと巨石・磐座信仰の関係が深いという事実を述べました。しかし、ニギハヤヒを研究されている方の中には、「交野の磐船神社・河南町の磐船大神社・生駒市の稲蔵神社・たつの市の井関三神社奥宮・赤磐市の石上布都魂神社などに巨石信仰があるのは分かった。しかし、肝心の石上神宮や石切劔箭神社には大きな磐座が見当たらないではないか。」という反論があろうと思います。というわけで・・・・石上神宮の巨...
ニギハヤヒと物部氏はどこから来たのか?・磐座から推理する関裕二説
- 2021/06/15
- 06:00

神武東征以前に、高天原から大和へとニギハヤヒが舞い降りていたことは、記紀神話に明記されています。土着のナガスネヒコを家来にしていたわけですね。後発隊である神武天皇は、天孫降臨地の日向から大和へとやってきました。では、先発隊のニギハヤヒは、いったいどこからやってきたのでしょう。当然この疑問は、ニギハヤヒを祖神とする物部氏が、いったいどこから来たのかという謎でもあります。これについては、さまざまな説が...
ヨーロッパと日本、謎めいた夏至の太陽祭祀
- 2021/06/13
- 06:00

もうすぐ夏至ですね。冬至に比べると、夏至の古代祭祀と言うのは何となく影が薄いのですが、あまり知られていない夏至信仰はたくさんあります。下は、伊勢の夫婦岩。夏至のころに夫婦岩・沖合の興玉神石・富士山と夏至の朝日がセットで見える構図は、江戸時代の版画にも残っています。この偶然があったからこそ、失礼ながらただの岩礁にすぎない夫婦岩が古くから有名になったのです。ちなみに、一度は夫婦岩に昇る夏至の朝日を撮り...
松尾大社~比叡山の聖なる夏至ラインを延長すると・・・
- 2021/06/11
- 06:00

京都市西京区の大原野外畑町は、京都市というのが信じられない山間部で、少し西へ歩けば、大阪府高槻市に入ります。ここに、ひっそりと佇むのが松尾神社です。このお社には、ほとんど情報はありません。境内にひと気はなく、すこし荒れたような感じを受けます。残念ながら、巨岩や神体山などの特徴的なものは見えません。もう少し奥へ行けば、何かあるのかと、とりあえず本殿へと進むことにします。 ☆ところで京都盆地には、謎の...