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富田林逃走事件の樋田淳也容疑者とお遍路

富田林警察署から逃走し、9月29日にやっと逮捕された樋田淳也容疑者は、徳島県海陽町で出会った男性にこんなことを言っていたとか。

「一般の人の家に泊めてもらい、酒も振る舞ってもらった。これまで出会った人に食べ物もよくもらったし、お金も3000円くらいもらった。四国の人は優しい」

TBS「ビビット」の中で、MCの国分太一さん(TOKIO )が
「善意でやっている人の気持ちをわかって更生してもらわないとダメ」
との意見を言い、これに対してお笑いタレントのカンニング竹山さんは
「結局黙秘してるということは、何も響いてなかったってこと。お前何を黙っているんだバカ野郎って話。相当罪は重いと思う。逃げたことも逃げてる最中のことも」
と厳しい口調で語ったのだそうです。

強制性交、強盗致傷、窃盗と、犯罪のデパートのような危険人物に対しては、カンニング竹山さんのような意見が世論だと思います。

ただ、「四国の人は優しい」という言葉に、わたしも深く感じるものがあります。

  ☆

阿波国分寺といえば、徳島県徳島市国府町矢野に位置する有名な寺院です。

天平13年(741年)、聖武天皇が発した国分寺建立の詔により諸国に建てられた国分寺の一つで、寺伝では行基が自ら薬師如来を刻んで開基し、聖武天皇から釈迦如来像と大般若経、光明皇后の位牌厨子が納められたと伝わっています。

さらに弘仁年間(810 - 824年)に空海(弘法大師)が巡錫した際に真言宗に改宗したとされ、四国八十八箇所霊場の第十五番札所。まさに名刹です。

その中でも阿波国分寺庭園は、阿波の青石を力強く豪快に組んだ枯滝・枯池などで構成された石庭で、全体として桃山時代の特徴を示す有名なものです。

あの重森三玲さんは、この庭の実測調査を1966年(昭和41年)に行い、「庭園の石組は、各時代を通して、日本庭園中での第1級品」と評価、自身の作庭にも大きな影響をあたえたとされます。

というわけで、ぜひともこの庭園を見たいと思い三年前に訪問したのですが、残念ながら改修工事中でした。
その時の様子です。


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工事が完成したら、また改めて来るしかないなと、少しがっかりしながら帰ろうとしたら、声をかけてくる方がおられます。
このお寺の住職様でしょうか、失礼にもお名前等お聞きしないままなのですが、ていねいに工事のことや庭の起源などを説明してくださいました。
こちらが少し質問すると、寺務所に戻って数冊の資料を持って来て、さらにくわしい説明をしていただきました。

メモがわりに写真を撮ってもいいということで、役に立ちそうなページを何枚も撮影しました。
それがこれです。


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工事中でがっかりしただろうと、気を遣っていただいたようでした。
しかしこちらは、参拝もそこそこにカメラをぶら下げてうろうろする怪しい?夫婦。とりたてて親切にする理由も必然性もありません。

極めていい話が聞けたと満足して駐車場に戻り、車を発進させた直後に、必死に走って追いかけてくる寺男さん?がバックミラーに映りました。
あ、駐車料金が未納だったのかな、と思って停車すると、その男性は
「これどうぞ」
と、数個のお菓子を差し出したのです。

四国には「 お接待 」という文化が根付いています。
お接待とはお遍路さんにお菓子や飲み物などを無償で施すことです。昔はお遍路が過酷な旅でしたから、お遍路さんを応援するお菓子や湯茶、時には金銭の接待が当たり前の文化になっているのです。
しかし歩き遍路の高齢者ならともかく、参詣もそこそこに車で立ち去る人間を追いかけてまでお菓子を渡そうとする優しい行為に、私は正直驚きました。


もう一つ。

下は、以前に紹介したことのある、香川県の小豆島にある「江洞窟」です。


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四国八十八ヶ所の第六十番の洞窟札所で、 小豆島霊場では唯一弁天さまを本尊としてお祀りしています。
この巨大な丸石は、海岸に置かれた巨大なストーンサークルではないかと思うくらい、衝撃的な存在感なのですが、ここでの体験談を記します。

例によって写真を撮りまくり、失礼にも形だけの参拝を済ませて帰ろうとすると、庵主さんから
「後でコーヒーでも飲んで行って!」
と声をかけていただきました。
とても優しくて気さくな方のようです。

招かれた事務所のような場所に行き、セルフサービスのコーヒーを入れると、そこにいた子どもが丁寧にお菓子を勧めてくれます。
このお寺の子だな、ちゃんと接待もできるんだなと思っていたら、全く予想外だったことが分かります。
少し前にお参りを済ませた、家族連れの子どもだというのです。自分がお菓子をもらったお礼に、次の参拝者へのささやかな接待をして出発する慣習がここにあるのです。

なお小豆島といえば、小豆島で一番の高地、海抜500mにある小豆島霊場14番札所、清滝寺の庵主様。

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ここの庵主様も気さくで優しいお人柄で、いろいろお話を聞かせていただき、心が和みました。

感謝!


  ☆


神仏と個々の人間というタテの関係だけでなく、一期一会でも人間同士のヨコの関係を大切にする信仰文化。
少なくとも大都市ではとっくに失われた温かい文化に、樋田淳也容疑者も触れて衝撃を受けたにちがいありません。
笑顔で写真に写る樋田淳也容疑者を見て、私は単に厚かましい犯罪者だとは思いません。ひょっとすると生まれて初めて、自分に心底笑顔で優しく接してくれる人たちに出会ったのではないか。そしてそれは私たちが想像するより大きな衝撃ではなかったのか・・・

服役しても何年か後に、樋田淳也容疑者は社会に戻ります。
その時、再犯の道を歩むのではなく、四国の人々の温かさと、それを裏切った自分という存在を思いだし、二度と世間に迷惑を掛けない道を歩んでほしいと願うばかりです。

  ☆

しかし、四国の人々ばかりが巡礼者に優しいのでしょうか。
いえ、かつての日本ではそれが普通にあったようです。

昔読んだ「抜け参り」という本に、こんなことが書いてありました。
江戸時代、伊勢参りに行きたくて、今の福島県の家を黙って飛び出した男の子二人がいたそうです。
お金も食料もなしで飛び出したにもかかわらず、伊勢参りというだけで、途中途中で温かい接待を受け、首尾よく伊勢まで行って帰ってきた事例があったのだとか。

盗賊山賊関所に遭難、いろいろリスクはあったろうに、かつての日本は今よりはるかに安全で優しい社会だったのですね。


神社は好きだがお寺はちょっと、という方も、四国ではぜひ札所へお参りください!(^^)!



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コメント

No title

ネ、だからネタ探しには困らないでしょう。ブログの神様が付いてますよ。でも逃走犯とお遍路が結びつくとは・・・真面目なお遍路さんにとっては大迷惑ですよね。

Re: No title

> ネ、だからネタ探しには困らないでしょう。ブログの神様が付いてますよ。でも逃走犯とお遍路が結びつくとは・・・真面目なお遍路さんにとっては大迷惑ですよね。


いやはや、御明察恐れ入ります(^_-)

しかしまあ、お遍路さんの中にも、悪事を重ねた事に対する贖罪の旅はあったでしょうね。
こっちはまた、邪道ながらネタ探し遍路に行ってきます。

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sazanamijiro

Author:sazanamijiro
古代史マニアですが、特に自然神道期の多様な信仰遺跡に魅せられています。

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